遺言書の種類

こんにちは。司法書士の赤木真澄です。

今回は遺言書の種類についてお話したいと思います。

 

皆さんは遺言書にどのような種類があるかご存知でしょうか?

ほとんどの方がご存じなのが、

①自筆証書遺言

②公正証書遺言

このふたつだと思います。

しかし、民法では一般の方にあまり知られていない遺言の方式が他にもあります。

上記のふたつと同様に、普通方式でできる遺言としては

③秘密証書遺言

という遺言方式があります。

これは内容をご本人が書くところまでは自筆証書遺言とほとんど同じです。

そのあとの手続きが違うのですが、まずは中身を封書に収めてご本人が印鑑で封印します。

その後公証役場にて証人二人の立会のもと、公証人が証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、

遺言者及び証人とともにこれに署名して、印を押すことになっています。

つまり、自筆証書と公正証書のあいのこみたいな感じですね。

 

それぞれの遺言方式に長所短所があります。

自筆証書遺言と秘密証書遺言は秘密が守られますが、遺言者が亡くなった後は家庭裁判所で検認手続きが必要です。

また、要件を満たしていなければせっかく書いても無効になってしまう危険もありますね。

逆に公正証書は秘密が守られにくく、費用もかかるという短所があります。

しかし、検認手続きが不要ですし、自筆証書のように死後発見されないなんて心配もありません。

どのような方式で遺言を残されるか、のちのち相続人に紛争が起こったりしないよう十分検討しておく必要がありますね。

 

また、あまり知られていませんが、民法はこのような特別の遺言方式も定めています。

④危急時遺言(一般危急時、難船危急時) 

⑤隔絶地遺言(伝染病隔離者、在船者)

これは病気などで死期の近い方、文字通り船上におり難破の危険がある方、または伝染病で隔離されている方など普通の方式での遺言が困難な場合の緊急用として定められた遺言方式です。

この特別の遺言方式での遺言は、遺言者が普通の遺言ができるようになってから、6か月以上生存していた場合は失効するなどの制約があります。

一般の方にはまずあまり縁のない方式ですね。

 

私は受験時代にこれを知ったときは、色々な緊急の場合を想定して民法は細かく条文を設けているなぁ。

えらい学者さんがしっかり考えて民法は作られているんだなぁ、と大変感心した覚えがあります。

しかし方式がいちいち細かくて、受験生にはただの嫌がらせに思えたことも…

 

では、遺言って誰でもできるのか、子どもや認知症の方でもできるのか?

次回はこれについてお話したいと思います。