こんにちは。司法書士の赤木です。
今日は破産のお話をしたいと思います。
破産というと、以前ほどは抵抗がなくなったようにも感じられますが、
今でも特にご年配の方にはやはり抵抗をお持ちの方が多いように思います。
しかし破産は、返しても返してもとうてい返しきれないような莫大な負債を負ってしまい、
食べるものも食べられない、というような方を保護するために国が認めた救済措置です。
後ろめたいような気持ちを持ってしまう方も多いとは思いますが、
どうしても生活が成り立たない、借金が返せない、とお悩みの方は、
もう一度生活を立て直す方法として、破産を選択されてみてもいいのではないかと思います。
では、借金を負ってしまった方は、払うのが嫌だからといって誰でも破産できるのでしょうか?
破産は誰でもできるのか?
破産は国が特別に認めた、借金を支払わなくてよくしてくれる制度です。
当然いくつか要件があり、誰でも破産できるということはありません。
破産の要件の一つ目は、支払い不能状態にあるということです。
支払い不能状態とは、破産法では「一般的かつ継続的に弁済することができない状態」と規定されていますが、
どのような状態であれば支払い不能状態なのでしょうか。
借金の額が大きいから支払い不能、借金の額が少ないから支払い可能であるとは一概には言えません。
例えば借金は100万円しかないけれども、病気や高齢で働くことができず、今後生活保護を受ける予定
等の場合は借金の額は少額でも支払い不能状態と言えます。
逆に借金の額は500万円くらいあるけれども、毎月の手取り収入が100万円くらいある。
このような場合には支払い不能状態とはなりません。
また、高齢で年金収入しかないが、自宅と賃貸に出している土地を所有している。
このような場合でも、所有不動産を売却すれば支払い可能であれば、支払い不能状態とは言えません。
次に、一時的にケガなどで収入が下がり、毎月の返済ができない。
という場合でも、2、3か月でケガが回復し、元のとおりの収入を得ることができ、
支払い可能な収入が見込まれるのであれば支払い不能状態とは言えません。
継続的に支払い不能ではないからです。
破産要件の二つ目は、不当な目的や不誠実な破産申し立てであることです。
債権者に対する嫌がらせ目的や、財産を隠して計画倒産する場合などがこれに当たります。
破産をしても借金はチャラにならない!
破産をしたら借金はチャラになる!と思いこんでいる方は多いと思います。
ですが、実は破産申立てをしただけでは借金の支払い義務はなくなりません。
裁判所から免責許可決定を受けて、初めて借金の支払い義務から逃れるのです。
(借金自体が消えてなくなるわけではなく、支払い義務を逃れるだけです。)
免責許可決定という言葉はご存知ない方が多いと思います。
しかし、借金から解放されるためにはこの免責許可決定を受けられるかどうかが大事なのであり、
免責が受けられなければ、破産申立てをしても借金の支払い義務は残ってしまいます。
免責を受けるためにはたくさんの要件がありますが、主なものをいくつかご紹介します。
①浪費やギャンブルで莫大な借金を作ってしまったこと
収入に不相応な高価なブランド品や宝石などを購入して借金を作った
ギャンブルで給与を使い果たし、さらに借金でギャンブルをし、借金が膨れ上がった
など。
②債権者を害する目的で財産を不当に処分したこと
例えば、唯一の財産である不動産を、一部の債権者のみに代物弁済した
唯一の財産を他人に贈与した
自宅不動産を破産前に身内の名義に替えてしまう
などもこれに当たります。
③他の債権者には全く返済できない状態なのに、一部の債権者だけに返済した
銀行や知人から借金して支払い不能状態であるのに、知人だけに優先して返済した
などがこれに当たります。
④裁判所、申立て弁護士や司法書士、提出書類に虚偽の報告や記載をした
嘘を言ったり書いたりして免責を受けようとしてはいけません。
他にも色々と要件はありますが、簡単にいうと以上のような要件があります。
破産は本当に困っている人を救済する制度ですから、不当な目的などのためには破産することはできません。
また、隠し事や嘘の報告をしても、納税証明書や給与明細、通帳の記録など膨大な提出書類がありますから、
そこから必ずばれてしまいます。
予納金が準備できないと破産できない?
裁判所に費用の予納ができないと破産申立てはできません。
しかし、破産したくても手元に余分なお金がまったくないからどうにもできない、
という方も大丈夫です。
費用が準備できない方でも破産申立てができるよう、民事法律扶助制度というものがあります。
これは、国の運営する司法支援センター(法テラス)というところが、破産の費用を立て替えてくれる制度のことです。
返済は分割でも可能ですし、生活保護の方は免除を受けられる制度もあります。
破産要件に該当しているかどうか、自身が支払い不能状態にあるか判断できない、
民事法律扶助制度を利用したいなど、破産に関するご質問、ご相談はまこと司法書士事務所へどうぞ。
メールか電話でご予約いただきましたら、初回無料で破産に関するご質問にお答えいたします。