遺言書は誰でも書けるのか?

こんにちは。司法書士の赤木真澄です。

今日はだいぶ暖かくなって、ようやく春がやって来たかなといった陽気ですね。

お花見がしたい季節がやってきましたね(^^♪

 

今日は前回の遺言書の種類の続きとしまして、遺言書は誰でも書けるのか?というお話をしたいと思います。

 

まず、子どもでも遺言書は書けるのか?という点について、民法では以下のように定めています。

未成年者は、15歳に達しており、かつ意思能力があれば、遺言能力があり、法定代理人の同意なしに単独で遺言をすることができる

つまり、14歳以下なら、いくら大人びていてIQが200くらいある人でも遺言書は残せないということです。

逆に15歳以上の未成年が親に無断で遺言書を残していれば、親はこれを撤回したりすることはできず、完全に有効な遺言書と認められます。

 

次に被保佐人、被補助人は遺言書を書けるのか?

これについては

被保佐人、被補助人は遺言能力があり、保佐人・補助人の同意なしに、単独で遺言することができる。

と定められています。

 

それでは、近年もっとも多い問題である、認知症の高齢者などの成年被後見人は遺言書を書けるのか?

これはどうでしょうか。

2012年の時点で認知症患者数は462万人と推計されており、今後10年で患者数は1.5倍の700万人にもなると試算されています。

かくいう私も3年前に亡くなった祖母が認知症を患っており、家族は大変な思いをしました。

幸い遺言書を残すほどの財産もなかったため揉めるようなことはありませんでしたが、資産家の方なんかですと親族間で訴訟に発展するケースも多いようです。

今後ますますこのような事案は増えることが予測されますね。

 

民法では、成年被後見人は、意思能力を回復しているときは遺言能力があり、意思能力が回復したことを証明する医師2人以上の立会の下に、単独で遺言をすることができる。

この場合、成年被後見人であることを理由として遺言を取消すことはできない。としています。
 
認知症だからといって絶対に遺言書を書けないわけではないのですね。
しかし、後日紛争にならないようにするため、遺言書の最後に医師二人の署名をもらい、のちのちきちんと証明できるようにしておかなければいけません。
 
遺言書を書いた当時は元気だったが、のちに認知症を発症したような場合も遺言書の成立を疑われる場合があります。
そのような場合は、いつ頃から認知症を発症したか、医師の診断書をとって、きちんと保管しておくなどの対策が必要でしょう。
 
遺言書の作成を考えておられる方は、後日無用な紛争を起こさないためにも、きちんと専門家に作成をお願いするのが確実な方法だと思います。