大切な家族の財産を、信頼できる家族に託す。

家族信託とは、財産を持つ方(委託者)が、信頼できる家族(受託者)に財産の管理・処分を任せる仕組みです。認知症になった後も家族が財産を柔軟に管理できるため、「もしもの備え」として注目されています。

「親が認知症になったら、実家はどうなるの?」「自分に何かあったら、家族の生活は?」——そんな不安をお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。

家族信託は、「家族の、家族による、家族のための信託」とも呼ばれる財産管理の仕組みです。

信託契約を結ぶと、財産の管理・処分の権限は受託者(例:お子様)に移りますが、財産から得られる利益を受け取る権利は受益者(例:ご本人)が持ち続けます。この仕組みによって、ご本人が認知症などで判断能力を失った後も、お子様が代わりに財産を管理・処分できるようになります。

役割説明
委託者財産を託す人(元の所有者)
受託者財産を管理・運用する人
受益者財産の利益を受け取る人親(本人)

多くの場合、委託者=受益者(親自身が利益を受ける形)とし、受託者をお子様にするケースが一般的です。

● 家族信託が注目される背景

認知症による「資産凍結」のリスク

認知症などで判断能力が低下すると、金融機関は本人の意思確認ができないと判断し、預金の引き出しや不動産の売却ができなくなることがあります。

  • 親の預金を介護費用に使いたいのに引き出せない
  • 実家を売却して施設入所費用に充てたいのに売れない
  • 子どもが自分の財布から介護費用を負担することに

こうした「資産凍結」を防ぐ手段として、家族信託が広まっています。

● 家族信託のメリット

❶ 認知症になっても資産が凍結しない

家族信託を活用すれば、親が認知症になっても、受託者であるお子様が財産を管理・処分できます。介護費用の支払いや不動産の売却も、スムーズに対応可能です。

❷ 柔軟な資産承継が可能

遺言では「自分の次の代」までしか指定できませんが、家族信託なら二次相続・三次相続先まで指定できます。

例:「自分が亡くなったら配偶者へ、配偶者が亡くなったら長男へ」といった複層的な承継設計が可能です。

❸ 共有名義トラブルの防止

不動産を複数の相続人で共有すると、売却や活用に全員の同意が必要になり、将来トラブルになりがちです。

家族信託を使えば、受託者ひとりの判断で不動産を管理・処分でき、利益は受益者間で公平に分配できます。

❹ 成年後見より柔軟で費用負担が少ない

成年後見制度では、専門職後見人に月額2〜6万円の報酬を支払い続けるケースもあります。家族信託は初期費用はかかりますが、継続的な報酬負担がないため、長期的には費用を抑えられることが多いです。

● 家族信託の注意点

❶ 身上監護権は含まれない

家族信託は財産管理の仕組みです。施設入所契約や医療同意などの身上面の代理権限は含まれません。必要に応じて任意後見契約との併用をご検討ください。

❷ 信託できる財産に限りがある

家族信託の効果は、信託契約で定めた財産にのみ及びます。信託しなかった財産は通常どおり相続手続きの対象になりますので、遺言との併用がおすすめです。

❸ 家族の合意が不可欠

家族信託は家族が関与する制度です。関係者全員に事前に説明し、納得を得ておくことが大切です。「自分だけ知らなかった」という状況は、後々のトラブルにつながります。

❹ 遺留分への配慮が必要

家族信託で資産承継先を自由に決められるとはいえ、他の相続人の遺留分を大きく侵害すると、遺留分侵害額請求を受ける可能性があります。バランスの取れた設計が重要です。

● こんな方におすすめです

  • 親の認知症に備えて、今のうちに対策しておきたい
  • 実家の売却や管理を、将来子どもに任せられるようにしたい
  • 遺言だけでは実現できない、柔軟な資産承継を考えたい
  • 障がいのある子どもの将来の生活を守りたい(親亡き後問題)
  • 子どものいない夫婦で、配偶者の後の財産承継先も決めておきたい
  • 不動産の共有トラブルを避けたい

● 家族信託の手続きの流れ

STEP 1|ご相談・ヒアリング

ご家族の状況やご希望をお伺いし、家族信託が適切かどうかを判断します。

STEP 2|信託設計・契約書作成

信託の目的、信託財産、受託者・受益者などを決め、契約書を作成します。

STEP 3|信託口口座の開設

受託者名義の信託専用口座を開設し、金融資産を分別管理します。

STEP 4|信託登記(不動産がある場合)

不動産を信託財産とする場合、法務局で信託登記を行います。

STEP 5|信託の開始

受託者が信託財産の管理を開始します。契約後も継続的にサポートいたします。

● 費用の目安

項目費用
信託契約書作成・コンサルティング信託財産評価額の1%〜(最低30万円〜)
公正証書作成費用3〜10万円程度(財産額による)
信託登記(不動産がある場合)登録免許税:土地 評価額×0.3%/建物 評価額×0.4%+司法書士報酬

※財産の種類・金額・ご家族の状況により異なります。まずはお気軽にご相談ください。

● 成年後見制度との違い

項目家族信託成年後見制度
開始時期元気なうちに契約可能判断能力低下後に開始
財産管理者家族を自由に選べる裁判所が選任(専門職の場合も)
柔軟性契約内容を自由に設計可能法律で定型化、制約が多い
身上監護なしあり
裁判所の関与なし継続的な監督あり
費用初期費用中心継続費用(月2〜6万円程度)

家族信託は、認知症対策から相続対策まで幅広く活用できる制度です。
大切なのは、元気なうちに準備を始めること。信託は判断能力を失ってからでは組成できません。
「うちの場合はどうなんだろう?」と思われたら、まずはお気軽にご相談ください。ご家族の状況に合わせて、最適なプランをご提案いたします。